現代書作家協会

現代書作家協会展

ABOUT 現代書作家協会について

会長ご挨拶

現代書作家協会は、臨書部門と現代書部門の二部門を同時に展示する展覧会を年に一度、国立新美術館で開催しており、令和5年の開催で、55回目となります。
この会の創立者・武士桑風は、昭和43年(1968)、表立雲、千代倉桜舟氏らと共に現代書作家協会を創立し、同年五月、銀座にあった東京セントラル美術館で第一回『現代書展』を開催しました。

開催に当り、武士桑風は、「古典の神秘に参入して現代の書を創造する。」という大命題をかかげました。
そして、次のように語っています。
「私たちの作品は、私たちが ‘今’ という時点でとらえたものでなくてはならない。」
「現代とは何か、現代の表現とは何か。私たちはそれを歴史の必然的な発展の法則のなかに求め、新しい道をさぐっているのである。」
「私たちの発表する作品は、その道程の時点、地点でとらえたものの主張でなければならない。」

この大命題に向けて半世紀以上を費やしてきた現代書作家協会でありますが、果たしてどれだけその大命題に近付けたのか、その評価はいずれ歴史が下すことになるでしょう。
今という時は続き、継続中で有り、現代書作家協会が会を閉じない限り大命題への道は続きます。

私たちと共にこの大命題への道、古典の臨書に取組み古典の神秘に参入し、現代の書を創造する道を歩んで下さる方を一人でも多く募り、大勢でもってこの道を探っていけたらと願っております。

現代書作家協会会長 齊藤華秀

GREETINGS

The Contemporary Calligraphy Writers Association holds an annual exhibition at the National Art Museum. It is a dual exhibition featuring the Classical Brushwork Division and the Contemporary Calligraphy Division. In 2023, The 55th exhibition will be held. 

In 1968, Takeshi Sōfū, along with other calligraphers such as Hyōryū Un and Chiyokura Ōfune, founded the Contemporary Calligraphy Writers Association. In May 1968, they held the first “Contemporary Calligraphy Exhibition” at the Tokyo Central Art Museum (Ginza). 

During this time, Takeshi Sōfū held the belief of “confronting the mysteries of the classics and creating contemporary calligraphy.” He expressed the following: 

“Our works must capture the moment and essence of that particular time.” 

“What is modernity? What is contemporary expression? We seek them within the flow of history. Furthermore, we are in search of new paths.” 

“We must create works that capture what we have grasped along this journey and assert our voices.” 

Based on the thoughts of Takeshi Sōfū, the Contemporary Calligraphy Writers Association has been active for over 50 years. How close we have come to embodying these ideas will be evaluated in the future. 

The present moment, ‘now,’ continues both in the past and in the future. As long as the Contemporary Calligraphy Writers Association exists, we will continue to pursue Takeshi Sōfū’s ideals. 

We hope that more and more people will join us in the pursuit of Takeshi Sōfū’s ideas, engaging in the practice of classical brushwork, studying the classics, and creating contemporary calligraphy. 

Kashū Saitō 

Chairman, Contemporary Calligraphy Writers Association 

現代書作家協会50年の歩み

現代書作家協会は昭和43年1月に武士桑風など6名の前衛書家を中心に設立されました。
設立の大命題は[現代書の創造]であり、その理念は、文字性を第一とせず、点、線の軌跡、形体の妙、空間との調和などを通して内的世界を表現し、幅広い造形美を目指すものでした。以来、武士桑風の提唱する「それぞれに作家たれ」の意識のもとに活動を続けております。
作品の発表の場として昭和43年5月に第1回現代書展を開催し、それ以降毎年1回公募展として開催してまいりました。

一方で、書の古典を研鑽し習得することが、現代書を含むすべての書の原点であるとの信念に基づき、中国、日本の古典の臨書に力を注いでおります。
その成果の発表の場として第1回現代臨書展を同じく昭和43年に開催、甲骨文から始まり、篆書、隷書、楷・行・草書、仮名の各分野から76種(現在)を指定碑法帖として毎年公募展として開催してまいりました。
全国から多数の出品をいただき、特に近年は小中学生の参加が増え、書道の明るい未来を感じております。

HISTORY

In January 1968, six avant-garde calligraphers, including Takeshi Sōfū, established the Contemporary Calligraphy Writers Association. 

The primary goal of founding the Contemporary Calligraphy Writers Association was to create “contemporary calligraphy.” We aim to express our inner selves through the beauty of various types of writing, focusing not only on the form of characters but also on the movement of dots and lines, the excellence of shapes, and the harmony with space. Since its establishment, the association has continued its activities based on Takeshi Sōfū’s concept of “each individual being a writer.” 

To showcase our works, we held the first Contemporary Calligraphy Exhibition in May 1968. Since then, we have been accepting submissions annually and organizing exhibitions. 

On the other hand, studying classical calligraphy is fundamental to all forms of calligraphy, including contemporary calligraphy. Therefore, we place great importance on the study of classical Chinese and Japanese calligraphy. In 1968, we also held the first Contemporary Classical Calligraphy Exhibition to present classical calligraphy works. Currently, we accept submissions of 76 different types of works, including oracle bone script, seal script, clerical script, regular script, cursive script, semi-cursive script, and kana, and hold an annual exhibition. 

Numerous artworks from all over Japan are submitted for the exhibitions, and recently, we have seen an increase in the participation of elementary and middle school students. This gives us a sense of a bright future for calligraphy. 

 

武士桑風について

群馬県出身、比田井 天来(ひだい てんらい)に師事 前衛書道(墨象)の分野で新境地を開拓。
毎日書道展の設立に参加し、現代書作家協会代表、全日本書道連盟顧問などを務めました。
代表作【神話】【竜神伝説】

武士桑風20年史より

私たちの発表する作品は、その道程の時点、地点でとらえたもの、その時点、地点での主張でなければならない。作品のなかには、超時間的、超空間と思えるものがあるかもしれない。それも私たちは歴史的必然法則のなかでの発展と思う。

私たちの発表する作品の形にひそむ生命が、私たち自身であり、作品がより人間的でありたいと願っている。それは書表現がとりもなおさず人間形象であるからである。

武士先生がおっしゃた事

私が武士桑風先生にお目にかかったのは、私が50代の初めの頃だったと思う。
事務所に足を運ばれ、諸先生方と楽しく談笑されていたことを今も懐かしく思う。

武士先生が作品についてお話されていたことで、印象にのこったことは、
『現代書を書くために最も大切なことは、一本の線を書くために、古典の臨書を徹底的に、
繰り返し繰り返し書くことです。』このお話を先生はよくされていた。
理論的には、ここをこうすれば良いとか細かいことなど、そういうことはほとんど教えてくださらなかった。今思えば『線を書くときに筆を一度持ったら持ち返さないことです』という元気な声が、ふと記憶に蘇ってきた。
とにかく難しいことなのだが、私は一気に一度で書き上げるということじゃないかと想像して、今も現代書を書く時には、そのとこを思い出して試みている。

武士先生の作品の特徴は、なんといってもシンプルで抽象的な形でモダンであった。
先生は線というものを常に追求されておられた。一見すると私達にも書けそうなかんじに見えたのだが、それを真似しようと思っても、とても真似できるものではないと感じていた。
その線は、武士先生固有の芸術なのだと思う。線が生きていなければ現代書ではないという事が一番の基本であるという事なのだと思う。
今でも武士先生の筆を動かす御手を思い出す。

現代書作家協会 顧問 岡田櫂歌